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徹底総括 マネー不信をこえて(3)


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宴のあと”の投資ファンド原論 さわかみ投信・澤上篤人社長(59) 

  12月29日- シャ、シャ、シャーン──。年明けの全銘柄取引停止やルール破りによる上場廃止、企業の買収合併などこの1年ニュースが絶えなかった東京株式市場では、大納会を迎えて2006年最後の取引を終えた。

  ライブドア事件や村上ファンドの退場などをよそに順調に純資産を伸ばし、投資信託の時価にあたる基準価額を高めた投資ファンドのひとつに「さわかみファンド」がある。従業員60人ほどのさわかみ投信が手掛ける同ファンドの12月末時点の純資産総額は、前年比25%増、発売7年で130倍の約2240億円。基準価額は1万8516円(12月29日現在)と開設時のほぼ倍に達する勢いだ。

  広告宣伝は一切せず、営業部隊なし、扱う商品はたったのひとつ、ファンドマネージャーは実質ひとり。将来的な価値から考えて割安とされる銘柄に重点投資し、割安が解消するまで保有し続ける長期運用がモットーのサラリーマン家庭向けのファンドで、毎月1万円から購入できる。株式組み入れ上位銘柄には重厚長大型の企業名がズラリと並び、話題のネット関連株は皆無だ。  「ファンド仲間」と呼び合う顧客どうしが、全国各地で勉強会や交流会を自主的に開催し、社長や従業員が参加。膝を突き合わせての対話の場では、資産運用のあり方から人生観まで話題が及ぶ。

  「ギブ、ギブ、ギブ、ギブ、ギブ、とことんギブ。そしていつかは、ギブン」  めったにメディアを入れないという社内に迎えられると、入り口に職場精神を並べたユニークな掲示板(前掲は標語のひとつ)が目に入る。師走の最中、急成長するファンドを率いる澤上篤人社長(59)の快活なあいさつで、インタビューは始まった。

~なんか凄い人です。職人って感じで。



◆ ◆ ◆

── 投資家としての印象に残った今年のニュースは。

 何にもないね。いろんな問題が起きたけど、日本経済全体がおかしくなったわけではないのに、当事者以外の企業の株も売られて、株式市場全体が連れ安になった。そのとき、むしろ「ありがとう」と言って目いっぱい買わせてもらった。

── 澤上社長の投資方針とは。

 儲かる人もいれば、損する人もいる。常に明日はわが身、市場ってそんなもんだよ。儲けたからといって、自分を正当化する気持ちはさらさらない。

 でも、投資とは、いつの時代でも安く買って、高く売るだけの話。うちなんかも昨年の8月前まではものすごく買っていた。その後にぐーっと高くなったから、買いを抑えて現金比率を32%まで高めた。高いとき買ってもしょうがないし、年に2、3回は必ず暴落があるのでその時買うよと。自分たちの方法論にひたすら従って、相場は無視するのがうちの投資スタイル。

 今は売られて安いけど、これからも価値が上がり続けるであろう株を買う。それも1年先ではなく、5年、10年と価値が高まっていくと期待できる会社の株を買うんだよ。市場はいつかは価値のある会社を評価するもので、暴落相場などで買っておけば結果的に短期的に投資リターンが来ることもある。でも、目先の利益が目的だったらできない。

10年後を見据える投資とは

── 5年後、10年後に残る会社とは。

 10年後はどういう生活しているか自分で考えてごらん。今とやることはそんなに変わらないはずだ。そしたら、10年後も生活者が求めるであろう会社だけを考えてみればいいんだよ。「こうしたら儲かる!」といった銭ボケ妄想をしてもろくなことはない。自分が頑張って生きていくのと同じ方向に向かって、頑張っている会社を応援しようということ。

── 投資先は重厚長大型の企業が多い。将来的には気鋭のネット株のほうが有望とも見えるが。

 ネット食ってうまいか(笑)。もの食わなければ生きていけないのが人間。いま居るこのビルも、鉄骨とコンクリートの塊だ。ここ来るのにも、鉄の塊の電車に乗ってきた。重厚長大型の産業がなくなったらどうやって生活していくんだという話。毎日の生活の中で、俺たちはいろんな企業にお世話になっている。「ありがたいな」という気持ちで経済の現場を観察してみてごらん。そうすれば新しいとか古いとか、おこがましい考え方はなくなる。

 ITみたいな成長産業は次々参入してくるから、どの会社が最終的な勝者か見えにくい。投資するとひっくり返ることが多いんだよ。ソフトバンクだって、光通信だって、ライブドアだって、群がった投資家は夢というよりも、欲の皮をつっぱらせたって話。儲けようとばかり思ったってそんな甘い話ないって。

── ファンドや会計をめぐる相次ぐ不祥事で、カネに対する不信感が強まった。

 不信感というのは一方的な考え方だし、気軽に言葉を使いすぎだよ。昨年の秋の上昇相場に乗っかってフィーバーしていた人たちが、自分たちで熱狂相場を作ってひっくり返っただけの話。そういう人たちは不信感を持つかもしれないけれど、投資家は自分の投資行動に対して自分で責任を取らなければならないし、市場全体に不信感が広まったとする見方はおかしい。

 日本って個人マネーが1500兆円もあるけど、株式市場に群がっているのは全体の7%。普通のサラリーマンには全然関係ない。

ライブドア株主へ

── ライブドア株の急落で22万人の個人投資家が財産を失ったが。

 今この記事を読める人だったら、資金をすべて失ったわけではないだろうから、これからいくらでも挽回(ばんかい)するチャンスはある。アドバイスできるとしたら、これからは「儲けよう、儲けよう!」で投資をするのは、やめたほうがいいと言いたい。

 儲けようと思って投資するのは本当に難しい。より良い世の中を築いていく必要な会社の株を、相場暴落時に安く買っておくんだ。そして、その会社を長期的に応援しよう。お祭り騒ぎに便乗するのではなく、弱いときほど応援する正真正銘のタイガースファンのように。そうすれば、投資リターンとしてお天道様がご褒美くれるよ、という程度に考えたほうがいい。

 会社の株を買うというのは、その会社の社会的な信任に一票を投じることと同じ。暴落する中で株が上がる会社は、やっぱり頑張っている、応援する人がたくさんいるということ。

── 少数株主の「一票」が会社に影響力を持つことはできるのか。

 個人投資家とは生活者と表裏一体の関係。生活をまじめに支えるような会社の製品を、日常生活でごく普通に買う。それは会社の売り上げや利益に貢献することで、その会社の株主であれば投資家としてもプラスとなる。同時に、訳の分からぬ会社は、生活者から無視されて、製品も株も買われない。それで、敵対的買収の対象になったり、経営者のクビが飛んだりする。そういう循環になっていくと、個人投資家は自分たちの力を実感するだろう。

 無数の生活者が、相場ではなく生活感覚で投資するようになれば、企業経営は生活者を無視しては成り立たなくなる。企業は今、機関投資家向けのIR(投資家向け広報)に熱心だが、これからは生活者に投資してもらうための努力が大事になってくる。

── 不祥事の連鎖を受けて、市場への監視や規制が強まっているが、やりにくさは。

 企業も投資家も5年、10年先の時代を先取りした行動をし続けている。その後に制度とか「現在」が時々刻々と追ってくる。決まりはキチンと守るが、将来の制度や経済理論を俺たちが作っているんだ、という気概で投資をしている。

「いい会社の株はどんどん伸びる」

── 16億円で始まった運用資産は7年で130倍にもなった。

 これからだよ。多くの人が、安心して信頼できて、ゆったりと財産作りをしたいと思っている。そういう思いがどんどん集まってきている。俺たちは、サラリーマンの財産作りのお手伝いをさせていただきたいという思いだけでやっており、カッコつけずとことん正直に、誠実に泥臭くやっていくよ。それしか言いようがない。

── 来年はどんな年になるか。

 来年、再来年、そしてその先といい年になるよ。市場全体は分からないけれど、いい会社の株はどんどん伸びる。「頭でっかち」ではなく「心でっかち」として、いい社会をつくるお手伝いを少しでもさせてもらいたい。

◆さわかみ・あつと:1947年名古屋市生まれ。73年ジュネーブ大学付属国際問題研究所・国際経済学修士課程修了。75年山一証券国際部、80年スイス・ピクテ銀行日本代表などを経て、99年日本初の独立系投資信託会社である「さわかみ投信」を設立。


■徹底総括 マネー不信を超えて
第1回 作家・田中康夫さん 「小泉後」のニッポン考現学(12月27日)
第2回 ドリコム・内藤裕紀社長 脱ヒルズ IT起業家に第3の波(12月28日)
第4回 三井法律事務所・熊谷真喜弁護士(12月30日配信予定)
最終回 ライブドア・平松庚三社長(12月31日配信予定)

2006年12月29日17時15分 (引用:ライブドアニュース)

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転職に役立つ経済ニュース | 2006-12-29(Fri) 17:15:02 | トラックバック(-) | コメント(-)

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